天体撮影を始めた16歳の頃、撮影するのはフィルムを詰めた一眼レフだった。
コダックのTRI-Xの基準感度ISO400(当時はASA400と呼んでいた)を4倍増感してISO1600で月の撮影や惑星を手動の赤道儀が付いた望遠鏡で撮影したのを思い出す。真っ暗な空の星を撮影しているから、そのフィルムを写真屋さんに現像に出してどんな写りをしているのか楽しみにしながら受け取りに行ったら「なにも写ってなかったよ。」と言われた。
そりゃそうだろ、星空を撮影すれば真っ暗だからフィルムは素抜け状態で、天体写真素人のカメラ店の親父からすれば“なにも写ってない”と思って当然である。
前フリが長くなった。
100年以上続いたフィルム時代が21世紀になって終焉を迎えた後、デジタルカメラで天体撮影をするのがあたりまえになった。こんなに便利で高解像度な映像はフィルム時代には想像も出来なかったのである。
撮影すればすぐに結果が判るのは当然のこととして、撮影感度もISO400どころかISO4000とか8000など、更にもっと上まで持ち上げられるのだ。
圧倒的な解像度でデジタルカメラはフィルムカメラを終焉に追い込んだと言っても良いだろう。(ノスタルジーでフィルムを使いたい人は好きにすればいい)
そんなデジタルカメラで撮影した天体撮影でも、更にきれいに仕上げたいと思うのは天体撮影にハマッた人間の性だ。
フィルム撮影していたころ、撮影したデータを何枚か重ねて(Stack)してシャープに上げる方法があったが、なにせ相手がフィルムゆえ位置合わせが面倒なこと甚だしい。
ところがデジタルになってからはStack(撮影データを重ねること)するのは優秀な画像処理ソフトが出てきたのでかなり楽になった。
天体撮影に供するPCはWindowsが圧倒的なシェアを誇っている。どういうわけか理由は解らないが…悲しいかなそうなっているのだ。
1985年からのMac使いの私からするとどうでもイイ話なのだが、出来ることならネイティブなソフトで画像処理をやりたいのだ。(MacにWindowsはインストール出来るが、そんな姑息な真似ではなく)
つい最近になってNIKON COOLPIX P1000を購入したり、5月25日には15年ぶりぐらいに新しい自動導入機能が付いた口径127mmマクストフカセグレイン式の望遠鏡を購入したので、惑星や月を撮影したデータを自動でStackingしたくなったわけだ。
Web検索で探した結果、MacOSのBoot CampにWindowsアプリを入れるのではなくネイティブで使用できるアプリが見つかった。
アプリの名前は“Lynkeos”で、ここがLynkeosのWebサイトである。
(国旗を見たらフランスのアプリで、フランスがちょっと好きになった)
このサイトからアプリをダウンロードして自分のMacBookPro 15in,にインストールしてみた。
起動後の画面はこんなのである。

今の季節、惑星も星雲も全く撮影可能な位置に存在しないので、これを使った結果は3ヶ月ほど先になる。でも月は撮れるかな?