月を撮影するときは写真か動画か

月のように動かないものを動画で撮ってもしょうがないだろと思う貴方。これを知ったら動画で撮るのは優れていると思うはず。

さて、なんのこっちゃと思うでしょ。

天体写真は月でも惑星でも静止画1枚撮影しただけではきれいにはならないのですよ。

同じ写真を何枚も撮影して、それを重ね合わせてひとつの画像にする。重ね合わせることで細部まできれいな映像を得ることが出来るのです。

左が静止画で右が動画からStackした画像
左が静止画で右が動画からStackした画像の一部を拡大

私が高校生の頃はコンポジットと言っていたのですが、本来の意味でいうとコンポジットではなくスタックが正しい表現だと今では言われていますので、これからはスタック(Stackとは重ね合わせるという意味)と呼ぶことにします。

2023年10月25日に月の写真を撮影しました。午後に降った雨の影響で空は澄み渡ってきれいだったのですが、空気の揺らぎが大きくてシャープな写真は望むべくもありませんでした。

それで撮影はNIKON Coolpix P1000で撮影したスチール写真と、同じくP1000の動画モードで撮影した画像を比較してみたいと思います。

このP1000というコンパクトではないコンパクトカメラの動画は4Kで撮影が出来るのです。

1080P(FHD)の場合は1920×1080ですが、2160p(4K)では3840×2160で撮影出来るのです。このカメラの良さはここにも有りました。

これで撮影した月の動画画像をM1チップ搭載のMcBookPro 14in.にインストールしたLynkeos  AppでStack処理をします。

NIKON CoolPix P1000の光学系は半端なく素晴らしくて、こんなスペックです。

レンズ
レンズ 光学125倍ズーム、NIKKORレンズ
焦点距離 4.3-539mm(35mm判換算24-3000mm相当の撮影画角)
開放F値 f/2.8-8
レンズ構成 12群17枚(EDレンズ5枚、スーパーEDレンズ1枚)

静止画の撮影は16M[4608×3456]で撮影しました。
動画の撮影は2160/30p[3840×2160](4K UHD)です。

これの画像を掲載しておきます。

ヌメッと滑らかな画像になっているのが動画をStackしたものです。
※拡大したら違いが分かると思います。

Seestar Appが正式に日本語対応

ZWO Seestar S50を購入時にiPhoneにダウンロードしたAppのバージョンはv1.70だった。その後すぐに1.80になったが日本語対応はまだだった。

Webで調べたらTestFrightというAppをダウンロードしてからβ版の1.90がテスト出来るようだったので10月3日にやってみた。
Firmwareも1.58からv1.65になった。

v1.90βでは日本語対応されていてずいぶんと使いやすくなっていた印象。Android版はv1.90βが無いそうなので可哀想…😜

そして10月12日。正式なv1.90がApp Storeにあったので正式版をダウンロード。

β版との違いは…分からん😅

10月14日(土)にはv1.91になってFirmwareも1.68にアップしたらすぐに1.70になった。

ついでに…MacOS13.0以降とApple M1以降のチップを搭載したMacが必要です。と書いていたので、AppStoreからダウンロードしてみたらMacBookPro 13-inch, M1, 2020 (macOS Ventura 13.6)で動作した。

昨夜の空はかなり良好だったのでSeestar S50で星雲撮影

クッソ暑い夏の呪縛からようやく解き放たれた10月。と思ったら急に涼しくなって秋の気配が深まり出した昨夜の12日に空を見上げたらかなり澄み切った空だった。

とは言っても私の住んでいる地域は都会ほどの明るさではないものの、街明かりがあって二等星の北極星ぐらいはすぐに見つけられるが、三等星以下になるとまず見るのが不可能。

購入の翌日に撮影した時よりも空の状態が良かったので、19時頃にベランダにセットしたZWO製 Seestar S50で天頂付近の小狐座の胸の辺りにあるダンベル星雲(M27 Dumbbell Nebula)を撮影してみた。露光は10sec。それをスタックして6minの重ね合わせたもの。

続いてアンドロメダ大星雲(M31 Andromeda Galaxy)さんかく座銀河(Triangulum Galaxy)、そしてNGC 281(Pacman Nebula)“NGC281は、カシオペヤ座に位置するHII領域で、ペルセウス腕の一部である。散開星団 IC 1590や重星 HD 5005、複数のボック・グロビュールを含んでいる。(WiKiから抜粋)”を撮影した。

前回撮ったものと一緒なのは比較のためである。

街明かりのない空気の澄み切った地域なら、もっときれいなものがいっぱい撮影できるのだろうと思いを馳せながら暖かい部屋の中で撮影されて出てくる画像を眺めていた。

※星を観るのは決してロマンチックではない。撮影場所は危険だし、撮影機材には多額の費用が掛かり、夜は暗いし暑いし寒いし健康に良くない。夏なら蚊に刺される。などロマンチックなところなんてまったくない。

高校の地学部(天文)に入ったときには10人近く入部したのに2年生になったら残っているのは私だけだった。同級生で入部した男も女もこんな事を言っていた。「夜に天体を観ていたらテレビが観れない(ビデオなんてものが無かった時代)、家に帰るバスがない(田舎から来ている女の子)、他の人と遊びたい。蚊に刺される。夜は寒い。お腹が減る…etc。

天文好きっていうのを端的に言えば“かなりの変態”だな。

Seestar S50を箱出しのまま撮影してみたら

Seee昨日届いたZWO社 Seastar S50のバッテリーを充電して、ひと通りのイメージトレーニングを終えた日曜日の10月1日の夜。

夜と言っても21時頃に北東の空の高い位置に見える(はず)のアンドロメダ大星雲を撮影してみた。最初に撮影するのが我々の住んでいる天の川銀河の兄弟星雲だ。

  1. Seestar S50をベランダにセットして電源を入れてAppの入ったiPhoneXRを使って導入してみた。やり方はこうだ。
  2. GITZOカーボン三脚に取り付けたSeestar S50の電源を入れてベランダに置く。
  3. iPhoneにインストールしたSeestar Appを立ち上げる。
  4. Connectを押したらWi-Fiに接続しますとメッセージ。
  5. 数十秒掛かって接続が成功したらメニューのTonight’s BestからM31(Andromeda Nebula) を選択する。
  6. Go Toボタンを押すとと自動で本体が回転してレンズをM31があるであろう方向に移動してゆく。

センターに入っているか?と聞いてくるので、入っていたら🆗ボタンを押したら自動的に追尾し続けてくれる。

そして撮影したのがこのM31アンドロメダ大星雲だ。

続いて撮影したのがM45プレアデス星団で、これもメニューのM45を選択すると自動で画面の中央に導いてくれるのだ。すごい精度である。

1日の夜はこれで満足したが、やはりオリオン座にあるオリオン星雲を撮影したい。南東の空に姿を見せるのは日が明けた2日の午前2時を過ぎた頃だ。

ウトウトとしながら2時にベッドを出て、裏庭に三脚に取り付けたSeestar S50をセットして夜空を見上げると澄み切った空にオリオン座が輝いていた。

Seedstar AppからM42を選ぶとアンドロメダのときと同様に自動的に目的となる星の方角にレンズを向けて、しばらくするとM42を捉えた。
それも全自動でピントもオートフォーカスである。

画面下の赤い撮影ボタンを押すと10秒露光を繰り返してプレートソルビングした画像が表示された。すると一気に鳥が羽を広げたようなオリオン星雲が画面に表示されたのだ。1minの露光を終えた画像がこの画像である。